郵政民営化を監視する市民ネットワーク

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 Ubin Watch news No.21
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市民は民営化を監視しつづけます!
〜便乗値上げ、サービス切り捨ては許しません〜

密室の民営化準備作業
徹底した情報公開を!

  ようやく郵政民営化法案は成立しましたが、その実効はこれからです。
  2007年10月にスタートする民営郵政会社の姿、形は、これから徐々に明らかにされようとしています。しかし、その設計、ビジネスモデルはもはや国民の手を離れ、政府・自民党、財界の思うがままにされようとしています。
  「国民の信を得た」と言って、何をやってもいいというものではありません。
  法律が成立したとはいえ、そのあとの具体的運用まですべて白紙委任されたわけではないはずです。
  政府には法律を厳格に履行する責務があり、国会答弁や付帯決議に示された郵便局サービス低下への不安払拭の精神を守り、いやしくも法の逸脱や便乗値上げなどがあってはならないのは当然のことです。
  私たち市民は、公共の財である郵便局が破壊されることに、これからもNOを言い続けます。
  密室の綱引きで進められようとしている民営化の準備作業に対して、徹底した情報公開を求めるとともに、厳しく監視し、声をあげていきます。

政府系金融機関も吸収
巨大メガバンク誕生か

  法案成立から一カ月も経たないのに、もう新会社新規事業や人事の話がぞろぞろ出てきています。
  中でも、「ポスト郵政」の改革課題のひとつと言われる「政府系金融機関の統廃合」に関して、郵貯銀行に代替させるという政府の方針が飛び出してきました。国会審議の中でも出ていない想定外の話です。
  郵貯銀行のビジネスモデルを大きく塗り替えかねないこの大統合は、「国がバックにつく郵貯銀行は民業圧迫となる」という民間金融関係者たちの懸念をさらに増長させるものです。これは民営化法の「同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保する」という基本理念にも抵触するばかりか、小泉首相が繰り返していた「官から民へ」ではなく「官から官へ」の実質的な逆戻りを意味するものにほかなりません。
  現在8つの政府系金融機関の貸出残高は約90億円にのぼり、対国内総生産(GDP)比17.9%にまで達しています。もしこれらの金融機関が郵貯銀行に統合されたなら、間違いなく世界最大のメガバンク誕生となるでしょう。
  一方、こうした肥大化−民業圧迫への懸念とともに、担保が十分にとれずリスクの大きい中小企業への融資や農林従事者向けの融資を肩代わりすることにより、郵貯銀行は新たなリスクを背負い込む不安が出てきます。これは国会答弁でも度々指摘されていた「郵貯銀行の破綻」になりかねない危険な賭けとは言えないでしょうか。

国際物流への進出
事業空洞化の不安

  10月20日、郵政公社は全日空との間で貨物機運航会社を設立することを発表し、来年4月からアジア・北米市場を中心とした国際航空貨物運送事業に乗り出すことを明らかにしました。両社は将来的にロジスティックス(戦略物流)事業等でも協力関係を拡大していくとしています。
  つづく10月31日、今度は国際大手インテグレーターのひとつオランダTNT社と戦略的パートナーシップを構築することを発表しました。両社は共同ブランドで国際エクスプレス商品を日本国内に提供するとともに、日本でジョイントベンチャーを設立してアジア太平洋地域での国際物流事業を拡大させていくとしています。
  あいつぐ物流事業分野での国内外企業との提携発表は今後、国内郵便事業から国際物流展開へシフトする新郵便会社の戦略の一歩と見られます。今後「ジリ貧」とされる国内郵便市場から、伸長著しい中国はじめアジア市場へと進出する野望といえます。
  儲かる事業分野にどんどん進出する一方、儲からない分野は縮小撤退する―利益追求の民営郵便会社は国内の信書より将来性のある国外市場へシフトするのです。それはとりもなおさず郵便事業の空洞化を意味するのです。
  郵政公社の生田総裁は国際インテグレーターの一角に食い込むと気を吐いていますが、「すでに2周も3周も遅れをとっている」と総裁自ら認めるように、その前途は容易ではありません。もし失敗したら撤退する気はあるのでしょうか。

失敗のツケは料金
値上げで責任転嫁

  もし経営危機に陥った郵便会社が、まず収支改善のため行うのは料金値上げでしょう。
  今回の民営化関連法案で大幅に改正された郵便法では、従来「認可制」だった郵便料金が「届け出制」に変わりました。つまり総務大臣からの認可がなくても、届け出さえすれば即時に料金値上げが可能となったのです。現に、小泉首相は国会答弁で「料金は下がることもあれば、上がることもある」とはっきり答弁しています。
  すでに改正郵便法では、速達制の廃止が決まっており郵便を早く届けたいならば「翌朝10時郵便」や「エクスパック」といった代替商品を選択するしかなく、実質的な料金値上げが待っているのです。

投信販売で儲けるのは郵便局だけ

  この10月から民営化の先取りとも言うべき新商売、郵便局での投資信託販売が始まりました。
  元本割れもある「リスク商品」を郵便局窓口で初めて販売することに関して、生田総裁は「コンプライアンスの徹底を」と販売職員に呼びかけています。しかし各局では目標額達成(初年度1129億円)に向けた積極的な販売合戦を繰り広げるのは必至です。公社は投信販売で初年度18億円の手数料収入を見込んでおり、将来これを新会社でのフィービジネス(手数料商売)の核にしたい考えなのです。
  「貯蓄から投資へ」という名の下に、郵便局窓口では庶民の安全・確実なサイフから、不確実な投機マネーへの移し替えをどんどん薦めようということにほかならないのです。
  お客様は損しても、これで確実に儲けるのは投信を設定し資金を運用する委託会社と、資金を管理する信託銀行、そして投信を販売する郵便局なのです。

設立委員にはズラリ財界大物

  郵政公社は法案成立の3日後の17日、早くも公社内に生田総裁を本部長とする「民営化プロジェクト推進本部」を設置、「仮想民営・分社化組織」として民営化時に設置される5社それぞれの準備室を置き準備作業を始めました。
  各準備室には仮想CEO(最高経営責任者)を置くほか、本社職員計426人を兼務配置、業務や資産の切り分けなどの課題を洗い出す一方、地方での民営化対応の準備を行うために各支社には「民営化対応室」を置くとしています。ずいぶんと手回しのいい対応ですが、郵政官僚としては経営委員会が発足する前に、既成事実として民営会社の業務や資産について自分たちの方向性を出したいという本音がちらつく「仮想民営・分社化組織」スタートです。
  一方、10月16日に発表された民営化準備会社の設立委員7人のメンバーには、奥田経団連会長や北城経済同友会代表幹事らとともに生田氏の名もしっかり入っています。この委員により持株会社「日本郵政株式会社」の前身である「準備企画会社」(来年1月予定)が設立され、その経営委員会で郵政公社の業務等の承継計画が策定されるのです。
  つまり、この設立委員たちの意見によって2年後の民営化会社のかたちが大旨定まってくると言えます。民営各社のトップ人事については、全銀協会長が「民間でなければいけないという切り口はふさわしくない」と早くも牽制しているように、すでに財界をまきこんだ利害剥き出しの民営会社をめぐる綱引きは始まっています。

利権争い・郵政資産あさりにNO!

  郵政巨大資産は、国民の利害とはかけはなれて、郵政官僚の新たな利権争いと国内外資本の草狩場、資産漁りの具にさらされようとしているのです。
  政争の具から離れ、財と官の水面下の攻防に移った感のある郵政民営化の準備過程ですが、私たち市民は、この間の郵政民営化に対する問いかけと全国から寄せられた熱い共感の声を糧に、今後も公共サービス破壊の暴走に、NOを言いつづけます。

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