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 郵政民営化法案を廃案へ

公共サービスを市民・社会の手に
「官から民へ」でなく、「官から公(パブリック)へ」

  市民そして利用者のみなさん!
  衆議院本会議で郵政民営化法案が可決しました。その差は、わずか5票。大方の予想に反して自民党反対派が51名も造反し、あわや否決寸前の事態となりました。
  私たち郵政ユニオンは、郵政内の労働組合の一つですが何ら利権とは無関係の組合です。この間、市民・利用者や郵政で働くものの真の声を国会へ反映させるために様々な取り組みを行ってきました。残念ながら今回、衆議院で法案は否決できませんでしたが次の闘いに希望をつなげることができました。
  圧倒的に世論は、慎重審議をもとめ、今国会での成立に反対しています。民営化そのものには、様々な意見があることは事実です。しかし、ここまできて未だに何のために郵政民営化するのか理由を考えなければならない法案は絶対に国会を通してはなりません。参議院で法案を否決するために私たち郵政ユニオンは、残された期間を全力で闘うつもりでいます。このリーフレットがその一助になることを願っています。

2005年7月
郵政労働者ユニオン

           【 目次 】
1. 公共サービスは、何のためにあるの?
2. 公共サービスは、誰が運営するの?
3. 小泉首相の言う「官から民へ」ってどういうこと?
4. 郵政民営化必要論のたくさんのウソ
5. 郵政民営化で通信・金融サービスはこう変わる
6. 郵政民営化法案の問題点
7. 「修正案」ってなに?
8. 郵政3事業の役割は終わったの?
9. 市民・利用者のための郵政改革−私たちの提言

 1.公共サービスは、何のためにあるの?

  「民間でききることは民間で」と様々な公共サービスが「民営化」されようとしています。「民」とは、「企業」のことで、公共サービスを商品(売り物)化するということです。
  しかし、公共サービスは人が生活していくために必要不可欠なもので、売り物ではありません。儲かるから提供される(する)のが、「商品」ですが、人びとが生活していくために必要不可欠だから提供されるのが公共サービスです。より良いものやサービスを得るにはより多くのお金を支払わなくてはならないのが「商品」ですが、誰もが同じ料金(負担)で同じサービスを受けられるのが公共サービスです。
  ニーズがあり売れる物は何でも提供するのが「商品」です。しかし、公共サービスはどんなにニーズがあっても、社会的有用性がなければ提供されません。社会や人びとに本当に必要不可欠なものをあまねく公平に提供するのが公共サービスです。郵政事業もこうした公共サービスのひとつです。

 2.公共サービスは、誰が運営するの?

  国が行う公共サービスは、「国営」の名の下に官僚の手による「官営」で運営され、利権と非効率の温床でした。それを民間企業の手に委ねようというのが「民営化」ですが、それは公共サービスを利潤獲得の手段に変えるだけです。公共サービスを護るには市民・働く者の参加による運営が必要です

郵政民営化阻止決起集会で団結がんばろう!(7月7日・東京)

  これまで、公共サービスの受け手である市民・利用者はサービスを享受するだけでその運営やあり方に関わって来ませんでした。
  しかし、利用者である市民がサービスの受け手としてのみ存在するのではなく、そのあり方にも関わっていくのが本来の公共サービスのあり方です。サービスの受け手である市民とサービスを提供する側である労働者がともに運営に参加することによって、自らの労働条件と同時にサービスを考え、サービスのあり様と同時に働く者の労働条件をも考えるという、連帯と協同性を基本とした運営が可能となります。

 3.小泉首相が言う「官から民へ」ってどういうこと?

  「官」といえば、権力をイメージします。また非効率や利権を連想します。他方、「民」といえば市民をイメージします。庶民を連想するので良いイメージが浮かびます。しかし、ここで言われている「民」とは、企業のことです。
  企業は、利益優先で動きます。「官から民へ」とは、社会や経済の仕組みを権力から利益優先へ変えることを意味します。
  確かに「官」はわるいかもしれません。しかし、企業や利益も良いとは限りません。企業は、お金のない人は相手にしないからです。また、利益優先で動く企業は、様々な社会的問題を引き起こしています。
  「官」と「民」との間に「公」(パブリック)があります。「公」(パブリック)とは、みんなで弱い人を助ける、権力や利益ではない仕組みです。NPOやNGOは、そういった領域ですし郵政事業と郵政公社をもっとそのような方向へつくりかえることが必要です。「官から民へ」より「官から公(パブリック)へ」が新しい時代の流れです。

 4.郵政民営化必要論のたくさんのウソ

  いま何故、郵政民営化なのか?竹中さんの説明は、ほんとうによく変わります。当初は、郵政事業が肥大化し民業を圧迫しているからといっていましたが、現在では、郵政公社のままではジリ貧になるというのが言い分です。
  では、ほんとうにそうなのか?
  公社のままだと2017年もりっぱに維持運営でき、民営化した方が逆に赤字転落という試算結果がでています。また、「お金の流れを官から民へとし、経済を活性化できる」と言うこともよく聞きます。しかし、これも二重三重に誤っています。郵貯・簡保資金だけを問題にして年金資金を問題にしていないことが、そもそも解せません。

  2001年から2003年の資金の流れの比較によると政府債務は、25兆円増加していますが、郵貯・簡保、年金資金は17兆円減少しているのです。では、どうして政府債務が増やせたのか?民間金融機関から政府へ33兆円お金が流れたからです。郵政民営化にかかわらず官からも民からもお金は流れ続きます。
  また、「郵政民営化を行い、特殊法人へのお金の垂れ流しをやめる」ということもよく使われます。しかし、そもそも郵貯・簡保に特殊法人の無駄づかいの責任があるわけではありません。責任は、旧大蔵省、現在の財務省と歴代の政権政党にあります。

  2001年の財投改革で、もはや郵貯・簡保と特殊法人との関係は市場を挟んだ関係へ変わっています。郵政民営化問題とは関係なく特殊法人改革を進めていけばよいだけです。ムダで必要のないものは廃止する、生活と社会に必要なものは存続させる、あらたに必要となるものは創設する、その視点から特殊法人改革の国民的論議を保障し進めていけばいいのです。
  さらに、郵政民営化が公務員の削減に繋がり国家財政再建に役立つという言い方がされています。これも大嘘のひとつです。郵政事業は、国から1円の税金の補填を受けておらず、独立採算で維持運営されているのです。

 5.郵政民営化で通信・金融サービスはこう変わる

  現在郵政事業は、3事業一体で経営され効率的な運営が維持でき、国からの一切の補助を受けることなく郵便、貯金・保険業務をユニバーサルサービスとして提供しています。
  このような効率的な事業形態がわざわざ生木を裂くように分社化されることで巨額のコストが必要となります。各会社間の手数料や消費税、システムネットワーク維持費用、さらに民営化による税金や預金保険料などあわせると6,000億円以上といわれています。
  この新たなコストは、当然見える国民負担として利用者へ料金値上げや手数料の徴収となって跳ね返ってきます。国民の利便性は悪化せざるを得ません。

○ 郵便局は縮小廃止され、現在の24,700局のうち確実に残ることができるのは7,000局程度です。
○ 郵便料金の値上げが行われます。信書や第3種・第4種郵便料金の値上げが懸念されます。
○ 万一のための蓄えである貯金、誰でも加入できる簡易保険制度が無くなります。
○ ATM、通帳再発行、両替手数料が民間金融機関並みに取られます。
○ 口座維持手数料の徴収が進んでいきます。
○ 緊急災害時の郵便事業のライフライン機能が弱まります。
○ 雇用破壊が進み、流動的雇用形態で事業が運営されることで、地域住民のプライバシーが流出する危険性が高まります。

 6.郵政民営化法案の問題点

  2007年郵政公社を解体し、5つの新会社へ分割し、2017年には郵貯会社、郵保会社は、完全民有民営化するという内容です。
  この本質は、郵貯・簡保を完全民営化するということにあります。その結果、金融ユニバーサルサービスが廃止され、その結果として郵便局数が減少されていきます。また、郵便事業の物流事業化が進みます。郵便局は、郵便窓口業務をやる営業所という位置づけになってしまいます。
  また、法案として見た場合「改革基本法33条1項6号の問題」(民営化等の見直しは行わないものとする)や234カ所も政令(省令)で定めるとされているなどの重大な欠陥もあります。

 7.「修正案」ってなに?

  自民・公明からの法案一部修正案が、まともな審議を経ずして衆院特別委員会や本会議で採決に移されました。この修正案とは、
 @ 窓口会社の業務に、銀行・生命保険業の代理業務を例示、
 A 持株会社が貯金、保険両者の株式を継続的に保有できるよう金融2社の定款に盛り込む、
 B 社会・地域貢献基金は2兆円まで積み立てが可能、
 C 民営化委員会による民営化の進捗状況の「検証」を「見直し」に変更、
 D 郵便局の設置は、都市部を含め利便性に万一にも支障が生じないよう十分配慮する、というものです。
  修正案について小泉首相は、「文言が変わっただけ」と述べていますが確かに小手先の修正という面があります。しかし、一方では、株式の連続的保有を認めたということは「4事業の自立的経営」という基本方針からの変更であり郵政民営化の必要性をまたひとつ政府自ら放棄したものといえます。逆に見れば、それほどの手を打たなければ民営化した4会社が成り立っていかないという証明でもあります。

 8.郵政3事業の役割は終わったの?

  「小泉改革」の4年間で日本の社会は大きな変化を遂げました。非正規雇用社員の比率は、28%から35%へ増え、4割の人が月収10万円以下で働く時代が到来しています。今後、貧富の差は、さらに拡大するものと思われます。
  この様な人びとにハイリスク・ハイリターンの投資銀行しかないとすればどうでしょうか?少額でも安心して預けることができる公的な貯金制度、だれでも少額でも入ることができる簡易保険制度はますます必要になっているのです。

  さらに、少子高齢化社会が到来します。2016年には高齢者は人口の26%となります。4人に一人は65歳以上のお年寄りという社会が到来するのです。また、過疎化も進行し市町村合併が進んでいます。郵便局が町や村のコミュニティーとして通信・金融だけでなく行政や情報サービスの拠点としてますますその役割は重要になってくるのではないでしょうか?
  郵便局は、町や村の生活の“ターミナル駅”、郵便、貯金、保険は“暮らしのセーフティーネット”私たちはそう考えます。

 

 9.市民・利用者のための郵政改革−私たちの提言

■ 国の間接的経営である公社形態を維持し、その経営体制を市民・利用者、従業員代表参加で抜本的にあらため、事業運営を行う

○ 現在の理事会をそのまま残すとしても総裁が理事を任命するあり方を見直すべきである。
  実際に理事には市民利用者、従業員代表の参加はなく、郵政官僚や民間企業元経営者などで占められている。これを国会の議を経て選出された理事(市民・利用者代表と従業員代表に一定枠を設ける)を総裁が任命する仕組みへとあらため、名実ともに市民・利用者もまじえた最高決議機関とする。

○ 公社の外部から事業計画と執行、決算について監視を行うオンブズマン制度を確立する。

○ 市民・利用者の立場から郵政の運営に対して監視、苦情、陳情、救済する公的な機関を設置する。地方の支社、郵便局段階でも事業運営と監視に従業員、市民・利用者が参画する「委員会」を設置する。

■ 24,700の郵便局ネットワークを高齢化社会や地域コミュニティーの再生のための生活拠点と位置づけ活用する

民営(=私営)ではなく、非営利の公営であるからこそNPOや自治体とも提携し、協力関係を広げることができる。その中から新たな公共サービスを創り出す。

○ NPOや地方自治体と連携・協力し、高齢者生活支援、介護支援などに活用する。

○ NPOや地方自治体と協力し、地域のコミュニティーの中核となり情報提供拠点とする。

○ 高齢者や障害者に優しい郵便局舎へ作り替える。(公衆トイレの設置、スロープ、手すりの設置)

○ 市町村合併の進展に対応して郵便局を利用しての地域行政サービスを展開する。

○ 風水震災害に対する地域の防災機能、ライフライン機能を更に充実する。

郵便事業をユニバーサルサービスとして維持し、公共性を高める

○ 国際物流部門への進出は行わない。郵便事業は、郵便・小包に専念する。

○ 現在の信書便法を見直し、万国郵便条約、EU諸国の独占基準等も参考に郵便の独占を確立する。

○ 第3種、第4種郵便制度を維持し、社会政策・福祉的サービスの現行水準を保ち、さらに、NPOなど非営利・市民活動団体の差し出し郵便物への低額料金制度を導入する。

■ 郵貯・簡保のユニバーサルサービスを維持し、資金運用方法をあらためる

○ 郵貯・簡保は、庶民の貯蓄、決済、生活保障手段として事業展開は特化し、銀行や生保との棲み分け、共存をはかる。

○ 政府保証を維持し、限度額については、庶民の貯蓄、簡易な保険制度の本旨から適正規模を検討する。

○ 郵貯・簡保資金の運用については、現在の国債偏重ともいえる運用を見直していく。

○ 郵貯・簡保資金の地方自治体への環流を拡大するために、中央集権的な大循環構造から地方のお金は地方で運用する少循環システムを確立する。

○ 地域の中小・零細企業へ資金が供給される仕組みを検討する。

■ 特定郵便局長制度を廃止する

○ 任用制を廃止し、一般の管理職の任用基準を適用する。

○ 私有局舎制を廃止する。

○ 無転勤、65歳定年制など特権を廃止する。

○ 集配特定局は、集配普通局とする。無集配特定局は、受け持ち集配普通局の出張所(出先窓口)とし、管理者はおかない。

■ 郵政ファミリー企業のあり方を改革する

○ 郵便輸送部門などは、公社の輸送部門として一体化する。

○ ポスタル・サービスセンターなど天下り企業は整理していく。

○ 官僚や管理職の関連企業への天下りを全面禁止する。

■ 公共サービスを担う労働者の雇用と権利、労働条件を確立する

○ ILO条約など国際労働基準を郵政職場に適用する。

○ 委託契約労働者にも公的契約に関する国際労働基準を適用する。

○ ゆうメイトなどの非正規雇用労働者にパート労働法を適用する。

○ 役員や職員の構成、賃金実態や労働条件を公開し、透明性ある運営を行う。
・ 公社役員の人数と報酬、職員の最高、最低、平均及び中位置など給与実態などを公開する。

  終わりに

  衆議院特別委員会で参考人として招請されたジャーナリストの安田浩一さんは、「多くの国民が納得もしないまま郵政が民営化されることに反対です」と断言しました。そして、現在の郵政公社の「ただ働き」の実情や、JPS(ジャパンポストシステム)の総本山と呼ばれる越谷局での現職死亡や長時間労働の実態を国会審議の一環としての参考人質疑で明らかにしました。市民の声や働く者の声が反映された瞬間でした。

  また、同じく参考人のひとり経済アナリスト紺屋典子さんは、議員諸氏を圧倒する郵政民営化批判を展開し、郵便局と郵便ネットワークを活用し市民活動や地域コミュニティーづくりへの提案を具体的に行いました。「郵便貯金を媒介にして『地域通貨』の全国的な連携をおこなってはどうか」「郵便局を地域防災や災害時の拠点として活用してはどうか」まさに、目を見張る提言でした。この提案は、「民営化」ではなく、「市民化」「社会化」しようという私たちの提案と全く同じものでした。

  いまは、とにかく郵政民営化をストップさせることが先決です。しかし、同時に真の郵政改革とは何か?その議論も重要です。このささやかなリーフレットがそのためのたたき台となれば幸いです。

郵政労働者ユニオン



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