◇ 大差の否決、市民はこう見ます
一部に「自民党内の権力抗争」などと斜に構え、したり顔で言う人もいます。しかし、これは誤りです。はじめから小泉首相や自民党執行部の絶大な権力が優るに決まっていたからです。
ことの本質は、そんなちっぽけなところではなく、庶民のよりどころである郵便局や郵政3事業を維持し公共サービスを守るのか、それとも法案を成立させ、外資や大銀行の新たな儲け口確保のために貯金や簡易保険をなくしてしまうのかという争いでした。
そして2つには、「反対する議員は公認しない」という小泉首相や自民党執行部からの恫喝政治が頂点に達し、痛ましい犠牲者まで生んだように、独裁政治を許すのか民主主義を守るのかの争いであったと言えます。だから、様々な事情で自民党の中の多くの反対派の方々が悩まれ、自ら最終判断され衆参あわせて80名以上の議員が小泉政治にNO!を突きつけたのでしょう。
権力争いなんかではない、一人ひとりの議員の判断であったからこそ大きな意義があったと思います。皆さん方の行動は、りっぱな行動だったと私たち市民は大きな拍手を送りたいと思います。ほんとうに、皆さんご苦労様でした。
共同通信の調査結果(9日)によると「造反」について「理解できる」との回答は52.5%、「理解できない」の44.6%を大きく上回っています。皆さん、ぜひ自信を持って下さい。
8月8日、ある町でこういうことがありました。人口40万都市の市民病院の待合室です。200人ぐらいが薬をもらう順番待ちをしていたとき、丁度開票結果が出たそうです。扇千景議長が「よって法案は否決されました。」と宣言した瞬間、待合室のあちらこちらから拍手が起きたというのです。
普通は人をはばかって、とくに病院のルームで市民が意思表示などしません。それが違ったのです。病弱者や高齢者が多く集まるそういうところの声なのです。地方の人たち、高齢者や社会的な弱者は、今回の法案否決をどれほど喜んでいることかと思います。
◇ 衆議院解散は、憲法違反の解散
「国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」(憲法41条)国会の決定には、首相といえども従わなければなりません。しかし、小泉首相は国会の決定を承服できないとして衆議院を解散しました。まさに、「やけっぱち解散」などでなく、「国会無視の解散」です。
これは、内閣総理大臣の地位を国権の最高機関たる国会の上に置こうとするものであり、憲法の精神を無視する行為です。
8月8日夜の小泉首相の記者会見は異常な発言が次々に飛び出しました。彼は、「国会の結論が郵政民営化必要ないという判断を下したが、私は国民の多くの皆さんに聞いてみたいと思う。いわば、今回の解散は、郵政解散です」と言いました。
小泉首相は、国民に「国会が正しいか、私が正しいか」どちらかを選べといっているのです。もし、9月11日の選挙で小泉が勝てば、日本にヒトラー以上の独裁者が登場することになります。ポピュリズムを抑制した国会の決定を再び大きなポピュリズムでもって押しつぶそうとしているのです。
自民党の良識ある議員の皆さんや公明党の議員の皆さんも、いいかげんに目を覚ますべきです。いつまで小泉首相と同じように権力政治をやるつもりなのですか。
◇ ゾンビが現れ「政治空白」をつくろうとしている
小泉首相は、「過半数を得ることができれば、再度国会を開いて成立させるよう努力したいと思う」と記者会見で述べました。「政治空白」をつくってはならないと言って「だから賛成せよと」脅迫し、あげく、今度は自らの権力欲から「政治空白」をつくり、勝てばまた郵政国会で膨大な「政治空白」をつくると言っているのです。
そんな時間的な余裕が今の日本のどこにあるのでしょうか?極楽とんぼの小泉政治と今度こそきっぱりと決別しなければなりません。
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