
ほんとうに危なくなってきました・・・・庶民の郵政サービス
前回ニュースNO.21で指摘した新会社の人事「あ、やっぱりか」と思う反面、「ここまでやるか」という思いにかられます。
11日、政府が日本郵政株式会社(07年10月発足予定)の初代社長に三井住友銀行の前頭取、全国銀行協会の前会長の西川義文氏をあてることを内定したことが報じられました。郵貯・簡保の縮小・廃止を唱えてきた銀行業界トップの起用で今回の「郵政民営化」が誰のため、何のための民営化であったのかがいやが上でも浮き彫りになってきました。
政府が国民との間でかわした「郵便局ネットワークは守られる」「国民の利便性は損なわれず、向上する」という約束が反古にされる危機が早くもやってきました。
□ 早くも値上げ!
11月16日、郵政公社は、通信販売の購入代金など各種代金を郵便窓口で払込むときにかかる「通常払込料金」を来年4月3日から値上げする、と発表しました。
値上げ額は、窓口のみ一律30円。民営化を口実に公社の利用料金の値上げが始まった形です。
公社によると、それでも「新料金でも民間よりは低めの水準」ということらしくいまだ低めであるとの説明がなされています。しかし、見落としてはならないことは郵貯が、口座維持手数料をとらず、払込料金を低額におさえてきたからこそ民間金融機関は安易な手数料の値上げができなかったという点です。
この先、「民間並み」といえば何でも値上げできる姿勢を郵政公社が持ち始めているとすれば大変なことです。
やはり、公社の経営姿勢は問われてしかるべきです。
□ 「競争力」や「リスク」を強調する西川氏
西川氏は、記者会見で次のように語っています。
「規模の拡大より、民営化会社にふさわしいビジネスモデルを持った競争力のある会社にしたい。」
そして、肝心のビジネスモデルのイメージを問われた西川氏は次のように述べました。
「時代の変化を先取りするにはリスクもとらないといけない。それができるかどうかが、公社か民営化会社かの違いだ。リスクをとって成功したものが利益を得て・・・」
このようにビジネスモデルのイメージは一切語らず、いや語れず、ただ語ったことといえば「リスク」「それができるかどうか」それこそが民営化だというのです。
規模を拡大せず競争力を追及するとどうするのでしょうか?利益率を高めるため民間企業で行われてきた手法はリストラではなかったでしょうか?
「リスク」をとる「リスク」の内容にはリストラが含まれていることは明白です。リストラにさらされるのは労働者だけではありません。簡易局や不採算の郵便局など「競争力」がない事業や郵便局もリストラの対象にされることは明白です。
この日本郵政株式会社トップの経営姿勢は重大です。
□ ゴールドマン・サックス(GS)との「深い関係」
最初に、GSのポールソン会長に竹中大臣を引き合わせたのが西川氏だと言われています。三井住友銀行時代自己資本比率増強のため資本不足を補うために1403億円の増資をGSに引き受けてもらったこともありました。西川氏とGSが「深い関係」であったことは紛れもない事実です。
すでに郵便局では、GS・アセット・マネージメントの「GS日本株式インデックス・プラス」という商品が販売されだしています。
そして、この先大きな利権として注目されているのが民営化される会社の株式上場の主幹事となり引受・販売の手数料を得ることです。
また、内外の物流会社の買収をアドバイスするM&Aビジネスも大きな儲け口としてねらわれています。かつてGSは、NTTドコモの上場のさい主幹事を努め巨額の手数料を得たと言われています。
郵政民営化にまつわる新たな利権構造がしだいに浮かび上がってきました。
小泉首相や竹中大臣らは、「既得権益を打破する」といって「民営化」へ強引に導きました。しかし、実際ふたを開けてみれば、政・官・財の新たな癒着と利権構造がつくられようとしているのです。
これが、「郵政民営化」の正体だったのです。
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