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No.36

世直しは、郵政民営化の見直しから

  不透明な経営・不明瞭な取引

  「かんぽの宿問題」で明らかになったことは、国民の財産の横流しとも言える驚くべき実態です。不正・不明瞭な取引のオンパレード。
旧池袋簡保検診センター  6月15日に行われた民主・社民・国民新各党合同プロジェクトチームによる旧池袋簡保検診センター(かんぽヘルスプラザ東京、93年築)の現地視察では、民営化直前(07年7月31日閉鎖)まで人間ドッグやフィットネス設備の他に宿泊客室やレストランをも備えていた立派な施設が、今や廃墟同然になっていることが明らかに。都心の一等地にある616坪の土地が巡り巡っていつの間にか住友不動産にその7割の「受益権」が渡っていたというのです。
  しかもその実態は4月7日の衆議院総務委員会の場で社民党保坂展人議員による追及の中で明らかになるまで一切国民には知らされていなかったというのですから、開いた口がふさがりません。

  世論は民営化の本質を見抜いている

6/15杉並集会  同日(6/15)、「かんぽの宿・郵政民営化を問い直す杉並集会」にて国民新党の長谷川憲正氏はこう断じました。「郵政民営化の本質は私物化である」と。特に西川善文社長の出身母体である三井住友グループに対する露骨な利益誘導は目に余ると。
  「時代劇には必ず、悪代官と結託する腹黒い商人が出てくる。しかし、忠義の家老が私腹を肥やそうとした西川さんを見つけて殿様の所に行ったら、『お前が腹を切れ』となった。麻生総理は本当に意気地なしだ」。
  この長谷川憲正議員の思いは実は国民の多くが共有するものであったことが最近の世論調査が物語っています。西川善文社長ではなく鳩山邦夫総務大臣辞任という事態に対して7割の世論がおかしいと判断しています。

  郵政は民営化で銀行は国営化?

  麻生総理大臣は一民間企業に政府が口を出すのはおかしいと述べます。
  民間大手投資銀行から最大の生保会社、さらには世界最大の自動車会社まで一挙に「国営化」してしまった米オバマ大統領の前で、その同じ言葉を面と向かって言えるのでしょうか。
  この世界金融危機のさなか、欧米各国の主要銀行が実体的に国有化されています。一民間企業どころか主要民間企業が続々と政府介入によってその経営の立て直しを迫られています。
  不透明・不明瞭な経営を続ける我が郵政事業は、ただ儲かっているからというだけで口を出すなというのは、それこそ悪代官のセリフではないでしょうか。

  民営郵政事業は儲かっている?

  しかも、郵政事業は本当に儲かっているのでしょうか。
  この3月期決算において連結純利益は4227億円。民営化時の予想は下回るとしても、竹中平蔵氏は立派な決算と今でもテレビで触れ回っています。
  しかしその中身は利益の過半(54%)をゆうちょ銀行(2293億円)が占め、総資産(177兆円)の79%は国債運用、銀行本来の業務である貸付金はわずか4兆円にすぎません。
  そして郵便事業会社と郵便局会社の経常利益でみると、2社合わせてもグループ全体の17%にすぎません。郵便局会社だけを取れば、その営業収益の実に82%は金融2社からの手数料です。金融2社の手数料によってなんとかもっているという脆弱な経営状態です。

3月期決算

  また、一部の評論家には純利益の中には先の優良土地資産などを放出した際の一時的な収益も入っているので、これは粉飾決算であるといった意見さえ飛び出しています。
  郵政事業の経営基盤の脆弱さは民営化以前から言われていましたが、分社化によって明らかになったその実態には空恐ろしいものがあります。国債引受機関としての金融2社以外は、もはや自立した事業経営基盤を根底から切り崩されているのが実態です。

郵政非正規労働者の大量解雇?
日通ペリカン便との統合会社=JPEXの雇用破壊

  「君の働く職場はない」

  労働相談の電話が鳴り響きます。
  「業研があったのですがはっきりとしたことを言わないんですよ。私の職場は約200人ぐらい。JPEXへはその内の三分の一も移れないとの噂が拡がっています。残りの者の雇用は保障されるのですか?」
  日本郵便の職場では、10月1日からの完全統合を目指すJPEX(ゆうパック部門と日通ペリカン便との統合会社)への「契約替え」に伴う郵政非正規労働者=期間雇用社員の「契約替え」選考が行われています。
  会社は「契約替え」という言い方をしていますが、実際は、契約期間満了に伴う雇い止めの上「就職斡旋」といったものでしかありません。事実、「JPEXになると職場がなくなるから、そちらへ移らない限りもうあなた方の働く場所はない。9月末をもって雇用期間満了に付き退職。それ以降、万が一JPEXが採用をしなくとも、その責任は郵政にはない。」こう言い切った現場管理者もいます。

クビを切るな  「雇用調整はあり得る」

  6月9日の参議院総務委員会郵政集中審議の場で社民党の又市征治議員はこう問い質しました。「JPエクスプレスへ〜(略)、郵便事業会社由来の期間雇用社員の方は新会社にほとんど異動できない。全国で数千人から一万人が非正規ゆえに職を失うのではないか」。
  日本郵政の常務執行役、伊東敏朗氏はこう答弁しています。「二つの事業を一緒にすることによって効率的なネットワーク、効率的な会社ということを目指しますので、その間に当然のことながら必要となる人員調整というのは出てくると思っております」。

  「宅配便事業統合」計画手続の不明瞭

  6月19日衆議院総務委員会郵政審議、社民党の重野安正議員質問。「当初これは『吸収分割方式』であったはずがいつの間にか『事業譲渡方式』になっている」。
  吸収分割方式では総務大臣の所轄となり労働契約承継法の適用となるが事業譲渡方式となるとこれが適用除外となる。郵政民営化時の特別委員会の中で、「現行の労働条件の確保及び民営化後の雇用安定化に万全を期す」といった付帯決議がなされたが、これを回避する為にこのような手段を講じたのではないか、そのような疑念が生じる。
  郵政西川善文社長はあくまで手続き上の問題と答えそのような疑念は否定しています。しかし、日本郵便の事業所現場では、10月1日以降も確実に雇用を守るといった管理者からの言葉はありません。

雇用を破壊し社会を破壊してきた民営化

  日本郵便グループ総体として約21万人、事業会社だけをとっても約16万人の非正規労働者が働いています。この国最大の非正規労働者を雇用する「民間会社」です。
  今や全労働者の4割近くが不安定雇用と低賃金非正規労働者だといわれています。
  まず山間・過疎地から雇用が奪われました。生活の基盤となる金融決裁機関がなくなったからです。全国400の簡易郵便局が廃止され、最近は「復活」しているところもありますがそのどれ一つとして貯・保事業を復活させたところはありません。都会の郵便局でも手続が煩雑になり長蛇の列が増えています。対応に疲れた職員が精神を病み職場から去っていっています、
  一方では、国民の財産である土地や施設が一部の企業グループにその利益の付け替えが行われたりしています。
  小泉─竹中路線による「構造改革」の、これがその成果です。
  社会を根本から再生させる道筋が今こそ問われています。
  郵政事業を再度、市民・社会の手に。

非正規の均等待遇を  安心して働ける社会を!

  公平・平等・連帯を基礎に
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