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UbinWatchNewsNo.40

郵政改革は
不安定社会を変えていく第一歩に

  5月18日に衆議院本会議で趣旨説明・審議が始まる予定だった郵政改革3法案は与党の国会運営に野党側が反発し趣旨説明は20日以降になりました。公共サービスとしての郵政事業を立て直すためにも、誠実で慎重な議論に基づく国会審議が早急に進められることを強く希望します。
  公共サービスを「社会」から「市場」へとゆだねることでより効率的な運営が可能であるかのようにいわれて強引に進められてきた郵政民営化でしたが、世界的な金融危機によって「市場」が実は人々の生活の必要からかけ離れた破滅的な動きを促進することが明らかになりました。また「構造改革」の名の下に進められた規制緩和や雇用の不安定化は社会的格差を拡大してきました。
  郵政民営化の見直しは、こういった「構造改革」という名の新自由主義政策全般を見直し、「市場」よりも「社会」、「利潤」よりも「連帯」が尊重される社会へ向けた改革の第一歩にしなければなりません。

  「官から民へ」の化けの皮がはがれた

  国会審議の始まる前日の5月17日、日本郵政の企業統治(ガバナンス)のあり方を議論する総務省の「日本郵政ガバナンス検証委員会」の最終報告書が発表されました。
日本郵政ガバナンス問題調査専門委員会報告書  そこでは、「かんぽの宿」等の不動産をはじめ、社会的な共有財産である郵政事業が、「最後のバンカー」と称された三井住友銀行元頭取の西川善文・日本郵政前社長率いる「チーム西川」によって食い物にされてきた経緯が明らかにされています。
  早くから警鐘を鳴らしてきた国会議員や一部の良識あるメディアによって、「官から民へ」の実態の一部が社会的にも明らかにされた事件であったといえるでしょう。
  郵政民営化の見直しのための国会審議においても、郵政事業は社会的共有財産である、という視点を踏まえた徹底した議論がなされることを期待したいとおもいます。

  3月24日に発表された「郵政改革法の骨子」およびその後の閣僚懇談会では、政府の出資比率やゆうちょ、かんぽの預入額・保険上限額が大きくクローズアップされました。
  しかし、ユニバーサルサービスを維持するための費用捻出は金融2事業からの利益でまかなうという考え方や、長期的な視点ではなく決算期ごとの収益性が重要視される株式会社という経営形態を問う声はほとんど聞かれませんでした。

  閣議決定で期待したのだけれど

  昨年10月20日、「郵政改革の基本方針に関する閣議決定」では、そういった方向にむけた改革が進むのではないか、と、私たちも大いに期待しました。
  しかし今年2月8日の郵政改革法素案では、ユニバーサルサービス義務を課されるのは郵便局・郵便事業のみで、郵便貯金事業と簡保事業については「ユニバーサルサービスを提供する」ことに止まり、「銀行会社、保険会社は、業法に基づく一般会社とする」とされました。

金融2社は市場任せでいいのか

  直営・公社の時代から現在の民営郵政にいたるまで、郵政事業は郵便貯金と簡易保険という金融2事業の利益や都市部における郵便事業の収益で(=税金を投じることなく)、「全国あまねく」という郵政ネットワークを維持してきたことはご存知の通りです。

  しかし現在審議されている郵政改革3法案のひとつ、「日本郵政株式会社法案」では、郵貯、簡保事業については、「窓口業務」のみが公共サービスと位置づけており、金融2社が行うその他の業務については、なんら縛りがありません。
  つまり、全国あまねく提供することが義務付けられた窓口から集められた郵貯・簡保資金については、民間企業としての郵貯銀行や簡保生命保険が、業法下の民間会社として運用することが可能になります。

  これを公共サービスの側からみると、郵便事業や窓口業務の公共サービスを維持する費用は、これまでのような国債での運用による比較的安定した収益ではなく、現在さまざまな問題点が指摘されているグローバルな金融市場において、他の民間金融機関との競争であげた利益から捻出されなければならない、ということです。

  市場、とりわけグローバルな金融市場における「効率」とは、公共サービスをはじめとする人々の生活を保障したり、よりよい労働環境を整備するための「効率」ではなく、一円・一銭でも儲かるものに資金を流すという意味での「効率」です。そして時に金融市場はその「効率」ゆえに、庶民の生活を保障する社会的必要性と正反対の結果を引き起こすことがあります。

  「効率」をもとめる金融市場によってどれほどの非効率な経済運営を迫られているのかについては、バブル崩壊後の日本やサブプライム危機以降の世界を見れば明らかです。
  全国あまねく存在する郵貯、簡保窓口から集められた庶民のお金をこのような金融市場に流す危険性のある制度設計は見直さなければなりません。

「WTO協定違反」の批判に正面から反論するために

  民間の銀行業界や保険業界から「不公平だ」というの懸念が出されています。
  はては欧米の保険業界を通じて米通商代表部からも「自国企業と同じ待遇を外国企業に保障するよう義務づけたWTOの内国民待遇規定に違反する可能性がある」と指摘されています。
  これらの批判は、庶民の生活を保障するための公共サービスはどうあるべきか、という立場からの批判ではなく、「儲けが減る」「せっかくのビジネスチャンスをつぶすな」という不当な批判ではありますが、現在の政府案ではその批判に正面から反論することはできません。
  今回の郵政改革法案での審議のなかで、郵貯、簡保の窓口業務だけでなく、金融2社の事業全体も「公共サービス」であると再定義し、そのための制度設計をしっかりと行うことを通じて、WTO協定等をたてにして公共サービスに不当な介入をおこなう勢力に対して毅然と対応することができるのです。

公共サービスでワーキングプアーを作らない

  日本郵政の事業を担う労働者約43万7000人のうち、半数を占める20万4000人が不安定な雇用と低賃金に苦しむ非正規労働者だといいます。公共サービスでワーキングプアを生み出す構造を見直すことも、国会審議の中で行われなければなりません。
  日本郵政の斉藤次郎社長は5月7日、勤続3年以上で週30時間以上働く人など6万5000人を正社員採用する計画とともに、そのための事業の合理化を進める必要があることを発表しました。
  「多くのベテラン社員が退職を迎えていくことから、日本郵政は事業の合理化ではなく、公共サービスとして適切な人員配置や労働条件の向上という観点から、希望者全員の正社員化をふくむ総合的な実施計画を早急に明らかにすべきです。
  そのためにもより一層政府の関与が深まるための制度設計をすすめるとともに、地域の利用者、有識者、郵政の職場などからなる経営会議をつうじた経営方針の確定が可能となるような見直しを提言します。

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