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UbinWatchNews No.45

郵政改革の理念すら放棄か?
復興を支援できるのは「マーケット」ではなく「公共サービス」です

  郵政改革法案第3条、基本理念には以下のような下りがあります。

  公共サービス基本法の基本理念にのっとり、〜利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に利用できるようにするとともに将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることを確保し、〜国民共有の財産として築き上げられた郵便局ネットワークの活用その他の郵政事業の公益性及び地域性が十分に発揮されるようにするための措置を講じ〜。

  理念にはその公共サービスとしての役割と国民の共有財産としての位置づけがはっきりとなされています。

  私たちはさらに踏み込んで、郵政事業の民主的な再公社化を提案してきました。三事業一体として山間僻地の隅々にまで郵便・金融サービスを存続させることを訴えてきました。
  去年末にかけてのマスコミ報道によると、水面下の与野党協議の中で、この郵政改革法案はお蔵入りさせ、これまでの郵政民営化法の一部修正という方向で協議がまとまりつつあるとのこと。
  具体的には、現在持ち株会社「日本郵政」の傘下にある「郵便事業株式会社」「郵便局株式会社」「株式会社ゆうちょ銀行」「株式会社かんぽ生命保険」のうち、郵便事業会社と郵便局会社を統合、持ち株会社「日本郵政」の下に三社を並立させる。さらに復興事業財政へ寄与するとして貯・保事業株式の早期放出を目指すとのことです。

  民営化法の修正ということは、先の「理念」を反故にし、小泉―竹中路線の破綻した新自由主義路線をさらに続けるということを意味します。
  政権交代の意味すら問われてしまいます。なんのための郵政改革なのか、国民に説明が付かなくなります。

復興事業は市場に任せられない

  被災地の復旧・復興は急務の課題です。原発事故対策としても緊急支援措置を含む膨大な資金投入が今後も必要です。財政難を理由に市民の生活を犠牲にすることは許されません。
  しかし、その資金の調達を一過性の手っ取り早い市場からの調達をアテにしていたのでは、先が続かなくなることは明らかです。
  郵政貯・保事業の株式放出による資金調達は、その手っ取り早い市場からの資金調達以外のなにものでもないでしょう。
  貯・保事業の資金それ自体が、有効に長期的に被災地に投下され、地域経済と市民生活の下支えとなるべきです。

  かつて財政投融資はその非効率性と怠慢な資金管理(天下り先への膨大な融資等)と共に行き詰まり、97年橋本内閣のときにその廃止が決まりました。しかし、もともとこの資金運用は一括して旧大蔵省が行っていたものであり、その破綻の責任は大蔵省にあったはずです。つまり、財政投融資の問題は、郵政事業の問題ではなくて官僚統制に失敗した政治にこそあったはずです。

  郵政貯・保事業の資金は公共の資金として被災地への復旧・復興融資のために再度活用すべきであると思います。官僚による資金運営を復活させよと主張しているのではありません。透明性を持った資金管理の仕方と、地域の特性にあった融資の方法を確立すること、それは政治マターです。
  株式放出による資金調達は一回限りのものです。被災地は長期的で継続的な資金を必要としています。それに応えるものとして、公共事業としての郵政事業が問われています。

ノルマと利益の最優先 公共サービスと労働環境は後回し
郵政事業の再建は待ったなし

  昨12月5日、参議院の又市議員は政府に対して以下のような質問主意書を提出しました。
  「高年齢の期間雇用社員の雇止めと要員不足対策に関する質問主意書
  これは先年9月末に全国一斉に実施された65歳以上の郵政期間雇用社員に対する1万4千名の雇い止めに対して疑義を糺すものでした。
  そもそも高齢者の雇用促進を進める政府の方針に反するのではないか。さらにベテラン社員の大量解雇という事態に現場は混乱していると具体的な支店名を記してその実態調査を求めていました。

  そして明らかになったことは、協定を違反した残業管理や、そもそも残業を管理する帳簿そのものの改ざんまで事実として判明しました。また、人手不足で配りきれない郵便が職場に山と積まれ、さらにタウンメールという業者と契約した配達地域指定郵便物を配りきれずに管理者がシュレッダーにかけていたということまで明らかになってきました。

  現場から報告される実態はさらに輪をかけるものでした。配りきれない郵便の山を前に、現場管理者は年賀営業の個人ノルマ達成の叱責に終始していたというのです。
  年賀営業ノルマは、正規・非正規にかかわらず毎年何千枚単位も個人に課せられ、成績不良者は朝のミーティングの際に職員注視のもと、反省の弁を大声で述べさせるということまでやらされています。
  年賀状発行日、その日の内に街の金券ショップには大量の安価な年賀状が並びます。
  暮れのテレビ報道では、実際に年賀状を金券ショップに持ち込んだ郵政期間雇用社員の告発が放映されていました。雇用や人事評価に響くと管理者に脅され仕方がなかった。自分で買い取った上でショップに持ち込むが、差額は自腹になり実際生活費にも響く。いったい自分はなんのために働いているんだろう、と。

上意下達の職場風土は民営化後に強化された

  1月10日、日本郵政グループ5社の経営トップが記者会見を開き、縦割り意識を改善して横断的な組織への転換を目指し、プロジェクトチームを発足すると発表しました。郵便物不配や貯金横領など、度重なる不祥事を絶滅するため、社員教育も徹底する、と。
  職場の上意下達風土は国営時代のお役所体質を引きずっているもので、民営化後はそれも改善さるのではないかと、現場の職員もわずかな期待を持っていたのも事実です。
  民営化されて4年以上が経ちました。上意下達風土は改善されるばかりか上の事例を見てもそれはさらに職場の隅々まで蔓延してしまっていると言わざるを得ません。

  一つには分割されて以降の各会社の経営基盤の脆弱さにその原因があると思われます。各会社、とりわけペリカン便統合に絡む1,000億以上の赤字を計上した日本郵便は人件費の大幅抑制という名目で職員の大幅リストラを断行しました。正社員のボーナスの30%削減から非正規社員の全国4万人に上るリストラ解雇に至るまで、その経営責任を一方的に現場にしわ寄せをするというやり方は、経営の無責任体質を助長するもの以外の何ものでもないでしょう。
  無責任な上意下達風土は、こうして職場末端まで行き渡るようになってしまっているのです。

  今回、会社は縦割り組織を改善する横断的な組織を作ると言いますが、まずは、これまでの経営方針の誤りとその責任の所在をきちんと明らかにしない限り、またこれまでと同様な上意下達の組織作りになるのではないかと現場では危惧しています。
  郵政事業の分割民営化はこのような会社風土をのっぴきならないところまで推し進めたという意味でも明らかに破綻してしまっていると言わざるを得ないでしょう。民営化の根本的な見直しと民主的な経営再建こそが急務です。

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